第68回沖縄大会、全国から615名の参加で、成功裡に終わる

By | 2016年10月4日

以下の報告は、大会の一旦を記述しただけなので、詳しくは、大会増刊号を参照してください。

●歴史教育者協議会第68回沖縄大会は、2016年8月5日から7日まで、名護市民会館と琉球大学キャンパスで行われました。
 大会直前の7月22日には、東村高江のヘリパット建設現場に、本土からの機動隊も投入されての工事強行に見られるような「沖縄から安保と民主主義を問う」という大会テーマに関わる重大な状況のなかでの大会となりました。
● 全体会に、550名の参加。地域特別報告・シンポジュウムから多くのことを学ぶ。
全体会は、名護市民館で行われました。
 まず、『「沖縄」を日本全体の課題とするために』と題した、丸浜昭歴史教育者協議会副委員長からの「基調提案」があり、高江からの緊急現地報告の後に、地域特別報告として、名護市長の稲峰進さんから「辺野古の海にも陸にも新たな基地は造らせない」と題して、沖縄情勢についてのお話がありました。
 全体会の司会をされた現地実行委員の上野さん自身も司会終了とともに高江に向かうとの発言に、緊張が走った一瞬でした。
 その後のシンポジュウムは「日米安保体制に抗う沖縄民衆のたたかいに学ぶ」と題して行われました。まず、元衆議院議員の古堅実吉さんからは、復帰前の人権抑圧と分断に対する民衆の闘いの実態や人民党議員として取り組んだ軌跡についてはなされ、さらに、沖縄大学名誉教授の新崎盛輝さんからは「構造的沖縄差別」との闘いを中心に報告がありました。
その上で沖縄県歴史教育者協議会のお二人の方の実践報告、下地治人さんからは「石嶺・沖縄から日本の政治を考える」との小学校6年生の実践、北上田源さんからは「在沖縄海兵隊の実態から軍隊の本質を考える」という大学での実践の報告がありました。
その後の討論も大変充実していて、時間が少ないのが残念でした。
● いくつかの分科会の感想から 
8月6日、7日の2日間を掛けて、琉球大学キャンパスの教育学部・法文学部棟で行われました。
第1分科会から第24分科会(第8分科会は行われず)の23の分科会と2つの特別分科会が行われ、活発な討論が展開されました。以下、いくつかの分科会参加者の感想を記述します。
・第11・12分科会(小学校3・4年生) 
 4年生の子どもたちが沖縄の学童疎開を、このように深く自分に引き寄せて考えていることに感動しました。今まで見えなかったものが見えるようになったという儀間先生のまとめにあるように、学んだ子どもたちに拍手です。
 また、琉球かすりという学習は、平和を象徴するもので、未来を織り成す子どもたちの希望が見えます。
・第14分科会(小学校6年生)
 教科書に書かれている歴史と自分が住んでいる地域の歴史は、同じなのか、違うのか、もし違うならそれはどうしてなのか、(報告者の)先生の「沖縄の自由民権運動」の実践から当時の沖縄の人々が置かれた状況がとてもリアルに感じられた。自由民権運動を地方史から捉え直すと差別の構図や人々の心が見えてくると思った。
・第21分科会(障がい児教育)
 今回の分科会で障がい児に対する教育の実践例を取り上げていて、障がい児に対する教育は普通学級でも生かせる内容もたくさんあり、学生としてこれからも実習や現場に出たときの参考になりました。
・第23分科会(社会科の学力と教育課題)
 授業実践を通して(具体的な事例)、授業の内容と方法について考えさせられた。
 子どもの思考に寄り添いながら、議論を展開できる教師を目指したい。
 今回のように、様々な実践に出会い、多くの人の意見や見方を知ることから、まず始めたい。
●地域に学ぶ集い
 沖縄大会の大会テーマ「沖縄から安保と民主主義を問う」にふさわしい内容の10の講座と2つの本部企画を合わせて12の集いが開かれ、約390名の方が参加で、どの講座も充実した内容でした。講座の感想をいくつか記述します。
・「高江ヘリパット建設阻止のたたかい」
 9年間のたたかいの一端に触れさせていただき、民意が反映されないもどかしさを痛感しました。8月5日の朝、N1裏テントの様子を見させていただき、機動隊が並んでいる光景の異様さに驚きました。
 日々の当たり前の暮らしが強引に壊されている怖ろしさを痛感しました。私自身の無知にも憤りを感じ、伝える大切さを感じました。
・「沖縄から見る日米の軍事一体化の実態」
 今まで米軍基地と自衛隊基地を区別して考えていました。しかし、今回のお話を聞いて、米軍と自衛隊が密接に結びついていることに気がつきました。安保法が通り集団的自衛権が行使されるようになると、自衛隊の武器だけでなく隊員もアメリカと共同してますます戦争に関わることになることが問題だと感じました。全てのアメリカの戦争に日本も関係していってしまうように思います。
・「若者たちと考える沖縄の平和運動」
 同年代の皆さんの口から語られる言葉に好感が持てました。信念や行動する勇気だけでなく、迷いや葛藤についても語ってもらえたことに共感できました。
 社会の問題を常に自分のこととしてとらえることは無理です。しかし、教師として、平和がおびやかされること、人権がおびやかされることについては問題意識を持てる子、問題提起する力がある子を育てていきたいと、みなさんの話を聞いて、改めて考えることができました。
・「国策に翻弄される地域の生活と教育」
 辺野古の人たちは語らなくなったと聞いていましたが、その実情や理由がよく分かりました。子どもたちにまで大きな影響を与えていることを考えると本当に恐ろしい。20年経過してもまだ先が見えない。どうして沖縄がこういう目にあわないといけないのか。国家は国民のためにあるはずなのに、国民不在の国の在り方には本当に腹が立ちます。学ぶ大切さも同感です。
● 閉会集会で、神奈川へのバトンタッチ
閉会集会では、神奈川県の若手の方(父親が沖縄出身で、神奈川で教員をしている)の
神奈川大会への抱負の発言と沖縄の若手からはこの大会で学んだことの発言がありました。
 さらに「18歳選挙権実施と歴教協の課題」「育鵬社教科書を用いてた実践報告」などの情勢を反映した発言がありました。
 恒例の引き継ぎでは、沖縄から泡盛とともに神奈川へのエールが贈られ、神奈川からは、今大会の「沖縄から安保と民主主義を問う」というテーマを引き継ぎながら、神奈川のテーマ「地域に生きる希望を子どもたちに」に生かすことで、神奈川大会の成功を目指したい、との決意が語られました。