8月8日大会実行委員会より

By | 2018年8月8日

 第70回記念大会は8月4日~6日に京都市にある同志社中学校・高等学校を会場に
開催された。「災害」と言われるほどの猛暑のなか、大会テーマ「現代と“明治一五
〇年”―けんぽう・ちいき・みらい」に沿って学びあった。大会は、学生・ボランテ
ィアスタッフの助力があり、参加者800名を得て成功裡に終了した。
全体会では丸浜昭大会委員長、羽田純一現地実行委員長、木村良己同志社中学校・高
等学校校長の挨拶、白玉真韓国・全国歴史教師の会会長、?泓南京市第一中学(日本の
高校に相当)歴史教育研究組組長の連帯のメッセージ後、山田朗委員長が「明治一五〇
年から学ぶこと、学んではならないこと」と題して基調提案をおこなった。その後、
吉田武彦氏が「学校・地域から創る平和の文化―朝鮮学校との交流が築いたもの」と
題して地域実践報告をおこなった。
    若者が思いを率直に語った「若者のステージ」のあと、近現代史研究者の加藤陽子
氏による記念講演がおこなわれた。加藤氏は「『明治150年』を考える」と題して、
「明治の精神に学び、日本の強みを再認識すること」といった政府の一面的な認識に対
し、各地域での戊辰戦争研究の蓄積・深化、戦前の天皇と軍隊との関係、戦後の天皇の
象徴化などから「明治150年」を問い直すことが必要とされていることを指摘した。
 分科会は全体会の翌日から2日間、引き続き同志社中学校・高等学校を会場に開催さ
れ、各地から182本の報告が寄せられた。京都からは①地域の研究と実践、②憲法問題
と憲法学習、③平和ミュージアムの活動、④放課後・夏休みの子どもの居場所づくり、
⑤アクティブ・ラーニングを導入・意識した授業実践、⑥高校生の国際交流など34本の
多彩な報告があった。
 東日本大震災・東京電力福島原発事故から7年たち当時の中学生は現在大学生となっ
ている。分科会では、彼らに東日本大震災の記憶はどう忘れられどう残るのかについて
の考察、七年目のフクシマから憲法と主権者について学ぶ授業、採択された育鵬社教科
書で原発をどう扱うか、和歌山県に原発がないのはなぜかを考えさせる授業、合唱曲「
群青」を題材にした特別支援学級での授業などが報告され討論された。
  「道徳」が教科化され、小中高を通しての新学習指導要領の全体像が明らかになった。
分科会では、道徳教科書の内容と採択の問題点、社会科の観点からの道徳授業づくりに
ついて報告があった。改変のねらいなど新教育課程の構図、小学校新学習指導要領社会
科の特徴と今後の課題、高校での「総合―探究」体制と日本史授業の可能性、「歴史総
合」の課題、「公共」の課題などが報告され討論された。「アクティブ・ラーニング」
に関わっては実践と批判の報告があった。
   「明治150年」に関しては、その実態、鹿児島から考える明治維新150年、何を学び何を
継承するか、「北海道150年」とアイヌ学習、明治維新からの歴史を国家的な視線でなく
   「ムシの目」から考えた授業などの報告があり活発に討論された。
 このほか、災害の多発で「防災・減災」が今日的な課題となるなか、防災・減災のた
めの取り組みなどが報告された。憲法学習の重要性がますます高まるなか、立憲主義、
高校生の模擬投票、主権者を育むカリキュラムなど主権者を育てることを意識した論議
がおこなわれ深められた。
    戦争と平和、地域の掘り起こしについては、高校生と取り組んだ戦争遺跡の探究、「青
い目の人形」の答礼人形「ミス三重」の里帰り展、千葉君津地域の空襲、民俗芸能の伝
承活動の現状、うたごえ運動の歴史、戦争を考える各地での取り組みなど多彩な報告が
あった。地域学習については江戸時代の農民日記を書く授業、地域のお店調べ、学校の
水の学習などの報告があった。さらに、沖縄についての学習、アイヌについての学習が
報告された。歴史のなかの女性については、菅野須賀子、永嶋暢子、与謝野晶子、長谷
川テルに関する報告があった。
    これらの報告・討論のなかで20代の参加者は「教員1年目で授業の作り方がまったく
分からないなかで、今後やってみたいと思う実践ばかりでした」などの感想を寄せてい
る。
 閉会集会では丸浜大会委員長、竹山幸男同志社中学校・高等学校副校長の挨拶ののち、
金城将太氏が学生・若手教員の勉強会や今後の歴教協のあり方について特別報告をおこ
なった。京都歴教協からの挨拶後、埼玉歴教協から「歴教協70年のあゆみを踏まえ、大
きな第一歩となるような全国大会をつくっていきたい」との決意表明があった。
    現職教員の多忙化のなかでも全国から歴教協につどい、社会科教育の在り方を論議し
学び合う京都大会となった。これらの報告や討論を70回記念大会後を展望する共有財産
にしていきたい。来年の夏は埼玉にレポートを持ち寄り、歴教協第71回全国大会を成功
させよう。