2019年7月号「歴史学・民俗学と歴史教育の対話」の読みどころ

By | 2019年6月16日

 アクティブラーニングがもてはやされる中、2022年から高校では『歴史総合』が始まります。大きく歴史教育が変わることが危惧されます。しかし、ピンチはチャンスです。歴史学や民俗学との対話から、学問の成果に学ぶ新しい歴史教育の可能性を探ってみました。

 特集の構成は、まず、多彩な近現代日本史研究で知られる歴史学者の成田龍一氏と高校日本史の討論授業で知られる歴史の授業の実践家の加藤公明氏の対談を特集全体の総論の意味で、巻頭に配しました。歴史研究と歴史教育の関係性、歴史修正主義の流行、歴史教育における討論の意義といった問題について、それぞれの立場から縦横に語って頂いています。明日の授業への示唆に溢れた対談です。

 この他に今回の特集の表題にも掲げた民俗学と歴史教育の関係について、80年代から現代までの両者の関係について柳田國男や民俗学の研究史に多大な業績をあげてこられた民俗学者の福田アジオ氏に論じて頂くと共に、滋賀歴教協の八耳文之氏に民俗学に学ぶ歴史教育の先達として黒羽清隆氏の業績について、論じて頂いています。特集外ですが、山梨歴教協の影山正美氏の柳田國男の社会科教育への提言についての論考も合わせて見て頂くと、数十年前の黒羽や柳田の社会科や歴史教育への情熱に改めて、励まされます。  

 もちろん、この他に特集では2つの実践を取り上げました。1つは高校日本史の京都府歴教協の村木真理さんの幕末維新期に来日した外国人の日本に関する記録を生徒が熱心に調べて、当時の人々の生活や意識に迫る内容豊かな授業の取り組みです。もう1つは小学校での歴史の授業で、モンゴル襲来をテーマによく知られた『蒙古襲来絵詞』を取り上げ、その読み取りを最新の歴史学で主張されている後世の加筆説に則って行う形での授業です。共に、小学生と高校生のちがいを越えて、子どもたちが歴史学の成果に学んで、生き生きと主体的に学習する姿がとても眩しく感じるものです。

 どこから読んで頂いても、興味深く内容豊かな特集で、必ずや読者の皆さんの期待に応えられるものと考えます。読後の感想など、投稿頂くことをお願い致します。