編集長日記(2)若い教員のみずみずしい授業に感動!!

By | 2019年9月25日

編集長日記(2) 若い教員のみずみずしい授業に感動!!

 『歴史地理教育』の新しい号が出ると、まず、一通り通読します。私の場合、生の原稿の段階で、何度か読んでいるものが多いのでが、刊行されて雑誌の形で読むと、原稿の段階とは大きく違った印象で、新鮮な気持ちにさせられることがままあります。

 9月号では、中学校の授業の熊井戸綾香さんの「地方自治を考える」を読んで、そうした印象を強く持ちました。この実践は、副題に「生徒のつぶやきをまちづくり提案に変える」とあるように、自分たちの地域にあまり自信を持てない中学生たちのつぶやきをきっかけに、授業づくりを始めます。アメリカのトランプ大統領のツイッターのつぶやきで、世界が揺ぐ現代です。生徒のつぶやきをすくい取って授業に結び付ける教員の姿勢に、授業の新しい可能性を感じます。実践者の熊井戸さんはまだ教職経験数年の若い方ですが、一読すると、若い教員のみずみずしい感性に驚かされます。

 授業は、まず、自分たちの地域について、アピールできるところ、変わってほしいところを問いかけ、班ごとに話し合って発表するところから始まります。普段の生徒たちの地域への低い評価のつぶやきを踏まえての問いかけです。そして、班ごとの意見をもとに、自分たちの地域の活性化について、みんなで話し合い、様々な意見を出し合います。その後、教材に市役所で発行される広報を使い、議会だよりから一般質問に注目して、どんなことが議会で話し合われているかを知り、そこにどんな特徴があるか、読み取って生徒が意見を述べていきます。2時間目は、同じ市の広報から市の予算案の実際を生徒と読み取ります。近隣の市に比べ、お金がないから市街地の施設がパットしないと思っていた生徒たちは、予算があまりかわりないことを知って驚きます。つぶやきから始まった地域への嘆きが、大きな関心に変わっていきます。生徒が地方自治を授業で擬似体験する実践です。

この実践で感心させられるのは、決して特別な資料を使っているわけではないのに、生徒たちの関心の高さが感じられ、前向きに学習に参加する様子がわかるところです。普段見過ごされている地域の広報に目を留め、生徒のつぶやきと結びつけるという教員の感性が光る実践だと思います。多くの方に一読をお勧めします。(若杉 温)