2020年・歴教協第38回中間研究集会のお誘い 歴史教育者協議会

By | 2019年12月7日

                           中間研究集会の内容はこちら

 

(1)今、日韓関係が悪化しています。その背景に、植民地支配の歴史に真摯に向き合わ
ない安倍内閣、またそれを批判しないマスコミなどの対応があり、その下で世論が大きな
影響を受けている状況があります。そこで第38回中間研究集会では、テーマを「日韓関係
をどうとらえ、どう臨むか」と設定しました。サブタイトル「2020年愛知/東海大会に向
けて」は、2010年夏の歴教協全国大会を愛知県名古屋市で開催する予定であり、中間研究
集会はその愛知/東海大会に橋渡しをするものという位置づけからつけています。

(2)今回の日韓関係の問題のきっかけは、アジア太平洋戦争中に日本本土の工場などで
働かされた韓国人の元徴用工が起こした訴訟で、昨年10月に韓国大法院(最高裁)が元徴
用工への賠償を認める判決を出したことに対し、安倍内閣が、賠償問題は1965年の日韓条
約などですべて解決済みと強く反発したことにあります。マスコミも韓国批判の後押しを
しました。しかしこの条約は、当時、日本と韓国両国にアメリカが関わって、植民地支配
ということの基本的な問題を残したまままとめられた大きな問題をもつものでした。韓国
の人々はこの条約締結に強く反対しましたが、当時の韓国政府はその反対の声を力で押さ
えつけて条約を結びました。韓国の政治が民主化され、人々が政府・国に対して声をあげ
られるようになったとき、この条約が問題となることは当然といえるでしょう。少なくと
も私たちは、まずこの条約の何が問題なのか知ることが欠かせません。
 また、そもそもの日本の朝鮮植民地支配の歴史に目を向けることが必要です。当時は帝
国主義の時代で欧米は植民地を合法的に持っていて、日本はその世界にまきこまれたので
あり日本だけが責任を問われることはない、といういい方をされることがあります。さら
に日本は朝鮮の近代化を進めており、悪いことばかりことさら取りあげて批判されるのは
不当だともいいます。これは、日本の朝鮮支配がどのようなもので、朝鮮の人々に何をも
たらしてきたのかから目をそらした責任逃れの議論です。
 日本軍「慰安婦」の問題でも、日本政府は2015年の「日韓合意」で「最終的・不可逆的」
といって過去を封印しようとしています。しかし、近年、世界各地でも日本軍「慰安婦」の
問題が取りあげられるのはただ日本を非難するためではなく、これは日本だけの犯罪では
無く人類が犯した犯罪であって、その再発をいかに防ぐのかという課題は人類が共同で解
決しなければならないと考えられるようになったからだといいます。過去に目を向ける大
きな意義のひとつはここにあります。フランスやイギリス、そして国連でも植民地支配な
どの責任を問い直す動きが進んでいます。日本だけ責められるなどと責任逃れをするので
はなく、こうした世界の流れの中で、私たち自身が負の歴史にもしっかり向き合うことが
求められています。
 こうしたことからこの研究集会では、午前中、一ツ橋大学の加藤圭木氏に「歴史に学び
朝鮮半島との平和を築く」と題して講演していただきます。加藤氏は近現代朝鮮史を専門
とする新進気鋭の研究者で、今、各地で日韓問題を語りわかりやすいと評判になっていま
す。基本的なことをお話しいただき、また様々な疑問について学べる場にしたいと思いま
す。

(3)午後は2本の報告です。1本目は歴教協の会員たちによって長く続けられてきた日
韓の交流を取りあげました。テーマは「日韓共同の授業実践交流ー26年も続いた意義を語
る」で、報告者は三橋広夫氏(日韓教育実践研究会代表)です。三橋氏は次のように語っ
ています。「1994年に始まった日韓教育実践研究会と晋州<チンジュ>歴史教師の会の授業
実践交流が、今年で26回を迎えた。現場で教える日韓の教師たちが子どもとともに悩みな
がら実践を進め、交流してきたからこそ続いてきた。そして、互いに学びあい、子どもた
ちの歴史認識、韓国観・日本観を深めてきたことを報告したい」。日韓関係が悪化する中
でも揺るがない関係を築き上げてきたこの交流から、今、しっかり学びたいと思います。
2本目はオリンピックのことを取りあげました。2020年度の全国大会は東京オリンピッ
クと重なっており、いやが上でもナショナリズムに直面することになり、また、今、「オ
リパラ教育」も進められています。この間、ラグビーワールドカップでも、スポーツとナ
ショナリズムの関わりについて話題になり、また、マラソンの札幌実施をめぐり東京オリ
ンピックの問題点が表面化しました。オリンピックの最中に開く今年の大会を迎えるにあ
たって、中間研究集会でオリンピックについて語り合うことも重要だと考えました。テー
マは「東京オリンピックの光と影― 今、どういうことがおきているか」とし、報告者は
『これならわかる オリンピックの歴史』(大月書店2016)の著者である石出法太氏(歴
教協会員)です。DVD『検証!オリンピック―華やかな舞台の裏で』(谷口源太郎監修・ア
ジア太平洋センタ刊行)の視聴も交えてあらためてオリンピックがもつ問題を確認しなが
ら、今、どういうことがおきているか情報交換をおこない、学びあい語り合いたいと思い
ます。
どうか、歴教協中間研究集会に、皆様お誘いあってご参加ください。