いのちと平和を学ぶ 今日は何の日366日 (1) (2) (3)



刊行にあたって
      編集委員会
 旅をしていると、「歴史と文化の町へようこそ」というような看板を見ることがある。用事をすました後に訪ねてみようかなと思うことがある。その土地の人々の暮らしや業績、その時代を感じたいと思う。日本人ほ歴史が好きで、探求心が強い国民だと思う。

 1日の始まりや社会科の授業の「まくら」に、「今日はどんな日だか知っている?」と質問することがある。「先生、今日は多分そういうんじやないかなあと思って、昨夜うちの人と話してきたんだ」と、先回りして発言を待ち構えている子に出会うとうれしい。

 今日は『8月15日』だなあ、何の日だか知っているか」と、ある職場で若い人に聞いたら、一瞬戸惑ったその大学出の新人さんに「お盆ですか」といわわれて、戦後60年の歳月をしみじみと感じた、という話を聞いた。

 そのような一般の人から、学校での子どもたちとの日常の会話まで、幅広い方々を対象にして本書ほ編まれた。戦後60年の節目を迎えて、テーマほ「平話」。私たちは日めくりカレンダーをつくるような気持ちで、編集を始めた。それは心はずむような楽しい仕事であると思っていた。平和のために、私たちや私たちに近い先祖が、20世紀という100年のあいだに、地球上に築いてきた平和の足跡をたどる作業だ。平和を築くために歴史を刻んだ人々の業績を紹介するつもりだった。

 21世紀を迎える時、おそらく世界中の人々は、あまりにも戦乱、抗争、憎悪と復讐に明け暮れた日々にうんざりし、21世紀こそ戦争のない平和な世紀にと、強く願ったはずだ。それにもかかわらず、不幸にも21世紀は「9.11」で幕を開けた。人類はなぜ、地球上に平和を築けないのか。

 私たちは本書で取り上げる出来事を、近現代史に限ってみた。そのあいだに画期的な大発明があり、死の恐怖から遠ざけてくれる医学上の研究もあった。交通の発達は地球を狭くし、人々の交流は濃密となった。テレビ、携帯電話、インターネットなどの通信網の発達で、会いたい人にいつでも会えて、会話がかわせる。それにもかかわらず、私たちの平和のための日めくりカレンダーの1日1話の「指定席」は、暗いニュースからふさがっていく。 ………(一部抜粋)