青木書店 歴史教育者協議会編 定価2800円+税
知っておきたい 中東T

 目 次 はじめに

 I 古代文明の遺跡をたずねて
1 世界最古の都市文明−ウル
   ウルの町並み 後世に残るシュメール人の文化 ギルガメシュ叙事詩 ノアの箱船の洪水伝説
   叙事詩を読み解く
2 ハンムラビ法典をいまに伝える−バビロン
   バピロン第1王朝の成立 軍事的指導者としてのハンムラビ王 ハンムラビ法典の発見
   四分の一を占める家族法 目には目を歯には歯を コラム−ワインとビール
3 よみがえる古代の都−テーベ
   エジプトはナイルの賜物 テーベ 王家の谷 ハトシェプスト女王の葬祭殿 
   カルナックのアメン大神殿 カデシュの戦い コラム−古代エジプトの化粧と薬
4 シバの女王と「幸福のアラビア」
   シバの女王 幸福のアラビア 乳香と投薬 古代都市マーリブ、サナア、シパーム
5 ダレイオスの都−ベルセポリス
   ペルシャ人の都 良き馬と良き人に恵まれたパールサ 「父」キュロスと「殿様」カンピュセス
   「商売人」ダイレオス インド洋から地中海まで コラム−アリスタゴラス

 U 生きつづける多様な宗教
6 ベルシア帝国を支えた一神教−ゾロアスター教
   いつ、どこで成立したのか  伝説のなかのゾロアスター  ゾロアスターの教え
   東西の宗教への影響 ゾロアスター教の盛衰
7 旧約聖書を生み出した不屈の魂−ユダヤ教
   ヘブライ人の祖・アブラハム 一神教の成立−モーセの十戒 エルサレムにユダヤ教神殿建立
   タルムードとシナゴーグ コラ−ナツメヤシ
8 パレスティナで生まれたキリスト教
   イエスをめぐる時代 原始キリスト教団 パウロの異邦人伝道
9 中東に生きつづけるキリスト教会
   独立を奪われたアルメニア人の心の拠りどころ エジプト社会の担い手としてのコプト教会
   カルケドン公会議による分裂 東方に勢力を拡大したネストリウス派
   混乱と分裂を促進させたカトリック教会

 V ローマ帝国との攻防
10 地中海世界の覇権をめぐる戦い−ハンニバル
   フェニキアの植民市カルタゴ カルタゴとローマとの戦い−ポエニ戦争 ローマを存亡の危機に
  追いつめたハンニバル ローマと戦いつづけたハンニバル
11 カエサルの心をひきつけたクレオパトラの魅力
   プトレマイオス朝エジプト クレオパトラ七世 カエサルとクレオパトラの出会い
   カエサルの野望 ローマ帝国の成立 コラム−ガラスの歴史
12 ローマへの反乱に敗れて離散したユダヤ人
   ディアスポラ≠ノついて 多様化するユダヤ人 キリスト教国教化とユダヤ人
   イスラム支配、そして十字軍の襲来 ユダヤ人のシャローム(平和)
13 ローマ皇帝を捕虜にしたササン朝
   イランの諸王の王 イランと非イランの諸王の王 生まれる前に即位した帝王
   エフタルの朝 貢国となったササン朝 不死の魂をもつもの コラム−ローマ皇帝になったシリア人
14 ビザンツ帝国を支えたギリシア人
   ローマ帝国からビザンツ帝国へ 「ギリシアの火」 吹き荒れる聖像破壊の嵐
   ギリシア文化の復活「マケドニア・ルネサンス」 コラム−アレクサンドロス(三世)大王

  W イスラム教の成立とその内容
15 神の啓示を受けたメッカの商人ムハンマド
   ムハンマド アラビアの住民の生業 商業都市メッカ 神の啓示
16 唯一神への信仰
   メディナのムハンマド ユダヤ教徒との対立とイスラム教の確立 イスラムの六神 五行
   コラム−天文学と占星術
17 助け合いの社会をめざして
   信徒たちの共同体 社会的弱者の救済 慈善のワクフ
18 カリフの地位をめぐる対立−シーア派
   ムハンマドの後継者たち シーア派の成立 カルバラーの悲劇
   コラム−輪廻を信ずるドルーズ派
19 ジハードの義務と異教徒への寛容
   ジハードとは何か ジハードであると誰が決めるのか 異教徒に対する寛容な扱い
   イスラム教はどのようにして広まったのか
体験記 モロッコ・エッサウィラ滞在、九日間の旅
   九・一一の衝撃から ジエラバを着る スカーフについて 女性の地位のこと
   六信五行の喜捨とは エッサウィラの町について 町での買い物 モロッコから帰ってきて
   コラム−カナート

  X イスラム社会の現実
20 モスクや聖者廟における礼拝と祈願
   この地上のどこでもモスクワ? モスクの形態と機能 聖廟の出現と広がり
   シーア派やスーフイズムとの関係 聖廟とモスクの合体 参詣者の願いと心性
   モスクと聖者廟の現況と今後 コラム−コーランの魅力
21 ムスリム社会のなかのウラマー
  ウラマーは複数形 知識を重視してきたムスリム社会 社会のなかのウラマー ウラマーと性別
   ウラマーの実態と歴史 ウラマーと公共性 コラム−邪視
22 家族の絆と女性の地位
   名付け 婚姻 女性とヴェール コラム−女子割礼
23 商人の活躍と貨幣経済
   イスラムの誕生と商人 金銀複本位制 市場と商人 イスラムと商業
24 交易と巡礼を通して拡大する文化交流
   巡礼 神秘主義教団と聖者廟参詣 イブン・バットゥータ ネットワーク社会

  Y 拡大するアラブ社会
25 ベドウィンと遊牧社会の伝統
   砂漠に住まう民族 ベドウィンの歴史 ベドウィンとラクダ 砂漠という環境が生み出した伝統
   生活のなかに生きている詩
26 東西に領土を拡大したイスラム
   正統カリフ時代の拡大 寛容の国、イスラム ウマイヤ朝期の帝国拡大 貨幣と行政言語の統一
27 エルサレムをめぐる十字軍との攻防
   「聖地解放」をめざす十字軍 フランクの侵入 エルサレムの惨状 ムスリムの反撃
   英雄サラーフ・アッディーン コラム−モーゼス・マイモニデス
28 十字軍とモンゴルを撃退したマムルーク朝
   インド洋交易で繁栄するカイロ 第六回十字軍のエジプト侵攻 マムルークをめぐるエジプトの内紛
   モンゴル軍を撃退したバイパルス
29 危機の時代に生まれた『歴史序説』
   イブン・ハルドゥーンが生きた時代 政治家としてのイブン・ハルドゥーン 新しい学問の開拓
   『歴史序説』のテーマとは 『歴史序説』の意義 コラム−マムルークとザンジュ
30 インド洋交易に進出したアラブ人
   東西世界を結ぶ「海の道」とダウ船 カイロの繁栄 カーリミー商人 アラブ人の東アフリカへの進出
   ポルトガル人の登場

  Z 華やかな文化の中心になったイラン
31 シルク・ロードと東西交易
   アッパース朝 平安の都バグダード シルク・ロード コラム−千夜一夜物語
32 イラン文化を彩る詩人たち
   ベルシア詩人の父 ルーダキー 宮廷の華 ルーダキー  ルーダキーの詩の特色
   民族詩人フィルドゥシー 『王書』(シャー・ナーメ)
33 世界の先端をいく科学研究
   私たちの周りに残るイスラム科学 さまざまな民族が行き交った町ブバラ
   イブン・シーナー錬金術
  コラム−水タバコ
34 東西交流の拡大−モンゴル支配下のイラン
   モンゴル軍の西アジア侵攻 暗殺教団を倒す 都市を破壊しなかったモンゴル
   東西交流の拡大 イラン文化の隆盛 初の「世界史」と磁器
35 「イスファハーンは世界の半分」
   王都イスフアハーンの賑わい サフアヴィー教団の国家 アッパースの改革
   工芸の発達−職人の技

  [ 大帝国を築いたトルコ人の活躍
36 バグダードに入城したトルコ人
   トルコ人の故地 トルコ人のイスラム化 セルジューク朝の成立 バグダード入城
   セルジューク朝の発展 コラム−ラマダーン月の「断食」
37 アジアとヨーロッパをつなぐ大帝国
   アナトリアのトルコ化 オスマン家の台頭とバルカン進出 帝国の形成 コンスタンティノープル陥落
   共存の都市イスタンプル
38 ウィーンを包囲したオスマン帝国
   先進国だったオスマン帝国 二大帝国にはさまれたハンガリー王国 第一次ウィーン包囲とラクダ
   スレイマンの時代 第二次ウィーン包囲とその影響 コラム−禁酒とコーヒー・茶
39 イスタンプルを飾るモスクと宮殿
   三つの名をもつ都市 帝都イスタンプルの再建 ローマの水道施設 建築家スィナン
   世界の名宝トプカプ宮殿 国際都市イスタンブル コラム−海洋帝国オマーン

  \ ヨーロッパ人の進出に対する抵抗と改革
40 オスマン帝国における改革の所産
   チューリップ時代 キュチェク・カイナルジャ条約 セリム三世、マフムト二世の諸改革
   ギリシアの独立と「エジプト問題」 タンジマート改革の理念と現実
   中東・バルカン地域における諸問題の起源
41 イスラム精神の復興をめざすワッハープ運動
   二人のムハンマド 聖者廟を破壊せよ ワッハーブ運動とナポレオン ワッハーブ王国、二度復活す
   サウディ・アラビア王国へ
42 挫折した「上から」の近代化−エジプト
   ナポレオンの東方遠征とムハンマド・アリー朝の成立 近代化政策−富国強兵・殖産興業
   海外進出と近代化政策の挫折 ムハンマド・アリー統治の評価 コラム−アブド・アルカーディル
43 アフガニスタン民衆のイギリスへの抵抗
   アフガニスタン王国の誕生 欧米列強の画策 ドースト・ムハンマドと第一次アフガン戦争
あとがき 参考文献 中東歴史略年表