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新しい取り組みに挑戦! −関東ブロック集会報告
                               千葉県歴教協 関根 千春

 12月22、23日(土・日)に、市川市の千葉県立国府台高校を会場に第37回関東ブロック集会が180名の参加者をえて開催されました。今回の集会開催にあたり、千葉県歴教協ではいくつかの新しい取り組みに挑戦しました。その新しい取り組みを紹介しながら集会のようすを報告します。
 新しい取り組みの第1にあげたいのがワークショップです。児童・生徒から一般市民まで幅の広い人々が参加できる企画です。

 ワークショップでの糸車体験
 分科会の様子(小学校分科会)
    実物教材の紹介という要素もありますが、それよりも実際に体験し、感じることで楽しめるものです。参加者の感想にも、「ミュール紡績機は実際なかなか糸が続かない」「錬金術がすごい。私のお財布の中に入っていた10円玉、金貨に変えてもらいました。宝物にします」「江戸図屏風のジグソーパズル、よく見たら手づくり!これなら私にもできるかも…。つくって文化祭で生徒と遊んでもらおう!!!やってみたらなかなかつながらない」と、実際にやってみての発見や楽しさが綴られています。ベトナムコーヒーの試飲もあり、ひと息つきながらいろいろな体験ができたのではないでしょうか。

 フィールドワークも、小雨、寒さという悪条件にもかかわらず30名余りの参加があり、「短い時間だったが内容が充実していた」「『埋もれがちな』軍都市川の姿が垣間見えてよかった」「和洋女子大17階からの眺望は圧巻でした。軍都から文教都市へ−その転換も見事ですが、遺跡をしっかり保存していくことが大切だと思いました」などの感想が寄せられました。

 集会の一番の中心になる分科会についても、レポート討議を充実させるために、今まで2日間にまたがっていた分科会を2日目に集中させ、各分科会のはじめに「学生と若い教師のためのオープニングレポート」を配置しました。合計38本のレポート討議ができたのは、早くから方針を決め、準備を進めてきた成果だと思います。

 運営面では、学生を中心にボランティアスタッフを募集しました。14名の応募のうち半数が学生で、若い力に多いに助けられました。若者の存在はそれだけで集会の雰囲気を盛り上げるものでした。次回、または何年か後に会員として参加してくれることを期待したいと思います。  開会集会での関ブロ合唱団が「あの日の授業」を合唱したことも、新しい取り組みの一つです。私は歴教協の改革をめざす象徴的な姿だったと思っています。今回の集会の成果と課題をしっかり検証し、今後の活動に活かしていきたいと思います。

別府で開催した九州ブロック集会                                歴教協常任委員 渡辺 明

 九州ブロック集会は12月25日、大分県別府市で開催されました。大分、宮崎、鹿児島、福岡の4県が集まりました。
 集会は大分県埋蔵文化財センターの吉田さんの講演「宗麟の城下町の発掘」ではじまりました。江戸時代に作成された「府内古図」に「大友氏館」「萬寿寺」などと一緒に描かれている「称名寺」の発掘の様子を話してくれました。称名寺は1341年に創建された古刹で、寺の堀からは多くの瓦や、こま、わらじ、牛頭骨などが出土しています。牛頭骨には中央部に大きな穴があけられており、吉田さんは、この穴は牛の脳みそを取り出した穴と推測しています。戦国時代には牛肉を食べる習慣があったといいます。教会では復活祭の翌日に400人の信者が食べたという記録があり、また天正8年(1590年)の北条氏を攻めた小田原の陣で、高山右近、蒲生氏郷、細川忠興らが食べたと「細川家譜」に書かれているそうです。この他にも、ミャンマー、タイ、ベトナムの陶磁器が出土し、当時、南蛮貿易が盛んに行われ、「府内」が国際色豊かな町であったことがわかります。この発掘には近くの小学校の児童も参加し、いきいきと取り組み歴史に興味や関心を示していたそうです。大友宗麟の活躍した府内の様子が薄皮を剥ぐように解明され、有意義な講演でした。

 講演の後、各県の活動の交流をしました。
 鹿児島県は県単位での活動をしています。12・8集会、2・11集会の開催と全国大会に必ず参加しています。事務局会議は県例会のあとに開いています。県中学校社会科研究会のメンバーが数人例会に参加しています。県の会報を2ヶ月に1回発行しています。2008年は県の50回大会なので、いい大会にしようと頑張っています。すでに7月の大会の講演者は石山委員長に決まっており、戦跡フィールドワークのガイドブックも出す計画です。
 大分県は会員が少なく、事務局長が孤軍奮闘しているのが実情です。県のニュースを3号まで発行していますが、地域にもっと広げていくことが課題です。会員は県内に点在して、それぞれ、戦争遺跡の調査などの活動をしています。

 福岡県では春と秋に大会を開き、20人くらいの参加があります。県ニュースは毎月メールで発信しています。事務局会議は毎月行っています。会報を毎月出している支部もあります。また、毎年、韓国旅行を計画して20〜30名の参加があります。
 宮崎県では会員と現職の教員との繋がりが十分にできていないことが悩みです。会報は会員や協力者の原稿を載せ、90部発送しています。支部例会を持っているところはありませんが社会科の研究会には若い教員の参加もあり、民教連の集会にはレポート持参で参加しています。県内の研究団体等に歴教協会員として参加し、中心になって活動しています。
 来年の九ブロ集会は宮崎県で行われますが、参加者を増やすために九民研と切り離して実施すべきかどうか話し合われました。地域に根ざし、困難な中で歴教協活動を頑張っている各県の方々に励まされた九ブロ集会でした。