歴史教育者協議会について

  1. 一般社団法人 歴史教育者協議会(略称:歴教協)とは   歴史教育者協議会は1949年7月14日に誕生しました。その後、60年を超える歩みをへて、2011年4月1日に、「一般社団法人 歴史教育者協議会」へ移行しました。全国の都道府県組織と地域・学園ごとに支部組織をもち、1300ほどの会員と、2000を超える月刊誌『歴史地理教育』の読者をもち活動しています。『歴史地理教育』は年3回、増刊号も発行しており、20183月号で通巻876号となりました。歴教協では、すべての子どもたちが主権者として育っていけるような、楽しくわかる社会科の授業づくりに取り組んでいます。また、地域の民衆の生活と歴史を掘りおこし、深く歴史と現代を学ぶ活動をすすめています。会員には、幼稚園から大学までの教員をはじめ、歴史教育や歴史の学習・研究に関心をもつ多くの市民が加わっています。
  2. 私たちが考えていること   このような歴教協の取り組みの原点は、1949年の設立趣意書の中にこめられています。第一に、戦前の歴史教育が神話に始まる天皇中心の歴史を教えることを通じて、無謀な戦争に国民を動員するうえで大きな役割を演じてきたことに対する痛切な反省にたっていることです。第二に、戦後のアメリカ直輸入の社会科が、身のまわりのことを断片的、実用的に学ぶだけで、結局は現状を無批判にうけとめるような社会科にしかなっていなかったことに対し、子どもたちが日本の主権者として、社会のしくみをきちんと学び正当な批判力をもってほしいという願いにたっていることです。第三に、そのためにはどうしても真理、真実にたった科学的系統的な歴史教育が必要です。それは、支配者の都合でゆがめられた歴史ではなく、民衆の立場からみた、民衆のねがいの実現を展望するような歴史教育であるという思いにたっていることです。さらに、戦後の高度成長以後、地域も子どもの生活も破壊されてくると、私たちは地域に根ざす教育こそ設立趣意書にこめられた願いを実現する道であることに気づきました。地域の歴史の掘りおこしに取り組んだのもそのためです。 一般社団法人に移行しても、1949年の設立趣意書は活動の原点になっています。定款では、第3条の目的と事業で、「当法人は、国民の歴史意識の形成、発展に寄与することを目的」として、具体的な活動を掲げています。
  3. 会の活動と大会   全国各都道府県組織、各地域・学園ごとの支部では、それぞれに歴史や現代の諸問題を学びあったり、社会科の授業や教育をめぐって実践報告を出しあったりしています。また、韓国や中国の教員と授業実践に関わる交流もおこなっています。そうした研究と学習、交流の成果は、毎年夏に開かれる全国大会に持ち寄られ、さらに深められています。2017年第69回神奈川/関東大会は8月4日~6日に川崎市にある法政大学第二中・高等学校を会場に開催しました。大会テーマ「地域に生きる希望を 子どもたちに」をもとに、「神奈川の歴史と現実を学び、今後の実践のあり方を追求する」、「全国で高まる平和・民主主義を求める人々の願いから学びあい、主権者を育てる」、「地域に根ざし、地域の課題に応える授業づくりを追求する」という3つの研究課題に沿って学びあいました。大会は参加者869名を得て成功裡に終了しました。この大会には韓国から10名、中国から4名の参加がありました。