編集長日記(12)「コロナの中でも『歴史地理教育』は刊行します!!」

By | 2020年4月26日

編集長日記(12)2020/04/26

「コロナの中でも『歴史地理教育』は刊行します!!」

〇4月に学校が始まらない!!

 かつてこんなことがあったでしょうか。4月というと、新入生を迎えて、多忙な中でも学校がもっとも華やぐ時期です。卒業式の季節である3月の休校も前代未聞でしたが、さらに1ヶ月続くことになるというのは、普段ならまったく想像できない出来事です。

しかし、コロナ感染者数の激増が報道されていた3月半ばから、勤務校の県立高校の職員室では、とても4月から学校を始められないだろうという声が飛び交っていました。3月の休校を決めた時点より、感染状況がひどくなっていたのですから、当然でしょう。それを思い出すと、5月連休明けから予定通り学校が始められるとはとても思えません。それぐらいの感染者数・死者数が東京を中心にした首都圏では増加し続けています。緊急事態宣言が出て、しかも大都市圏から全国に拡大した状況では、まったく先の見通しが立ちません。

 勤務校では、年度初めであったので、課題を生徒に出そうにも教科書も購入していない状況で大混乱でした。当初は学年別に分けて購入日を設けて生徒を登校させる計画でしたが、それも感染リスクがあるので中止となり、各家庭に郵送することになりました。しかし、今時の高校だと生徒は文系や理系など、選択科目がさまざまでひとりひとりがバラバラで、この仕分けと郵送のための梱包が一大作業でした。その後も課題の問い合わせも多く、世間では、生徒が来ないと教員は閑をしていると思われますが、とてもそんな状況ではありません。

〇『歴史地理教育』も休刊?!

 外出自粛の要請を受け、勤務校では先週から在宅勤務が始まりました。歴教協本部でも、諸々の会議は休止して、必要ことはメールや電話でやり取りしています。しかし、編集作業は事務局員が事務所に出勤して続けています。原稿依頼、ゲラの校正、印刷所との連絡など、テレワークでは無理なことが多く、ラッシュなどを避けて、三密に注意して勤務しています。全国の歴教協の会員から会費を頂いて、発刊をしている『歴史地理教育』である以上、休刊することは原則できません。しかし、そのために事務局員を危険にさらすこともあってはならいことで、ロックアウトという事態に立ち至れば、休刊もやむなしということになります。印刷所が営業停止となれば、発刊したくともできません。

 一方、編集を企画する立場からすると、会議で多くの人たちが意見を交換する中で、よりよいものが生まれてくるものであることは、これまで何度となく会議の場で経験してきています。そうすると、デジタルを活用したネット上の会議を検討してはいますが、実務的な情報交換ではできない、創造的な議論を要する編集会議では、未だ踏み出せないところです。(若杉 温)