2023年7月増刊号「山・川・海に学ぶ歴史とくらし」の読みどころ

By | 2023年7月1日

 豊かな海を守るために森を大切にする――。そう語る気仙沼(宮城)の漁師・畠山重篤さんは、著書を『森は海の恋人』と名づけました。私たちが山や川や海の繋がりの中に生きていることを気づかせてくれます。カキやホタテの養殖をしつつ、海を守るために水源である室根山(岩手)に感謝して登拝するとともに、植樹活動を続けてきました。この活動は、自然保護や環境学習の一環として、いまも行われています。

私たちのくらしは、山、森、里、川、海などの自然に支えられており、それは「あたりまえ」なことかもしれません。しかし、人間の歴史のなかでは、衣食住にかかわるあらゆるものを自然から恩恵として受けとるとともに、「開発」という名のもとに環境を壊してもきました。いまや地球環境問題は喫緊の課題でもあります。こうした人間と自然の関係史について、社会科学習のなかでどのように捉え考えていけばよいでしょうか。

この特集では、山・川・海という視点から人間と自然との歴史的な関係や現代の諸課題について考え、持続可能な社会をつくっていくための学習の可能性を探ります。