第68回歴史教育者協議会沖縄大会 “沖縄を見て、聞いて、考えた大会”

By | 2016年8月18日
1.「オール沖縄」に学ぶ
     沖縄大会は、8月5日~7日に名護市民会館・琉球大学を会場に開催し、615
名の参加を得て成功裏に終了しました。現地実行委員会とネットワーク、全国
の会員の協力のおかげです。ありがとうございました。
    沖縄大会では、「沖縄から安保と民主主義を問う」が追求されました。全体
会特別報告の稲嶺名護市長は、県民が示した新基地建設反対の民意は、法治国
家として最大限尊重すべき重要事項と訴え、新基地建設に県民が反対する理由
を理解するためにも、自らの目と耳と足で辺野古の現場を体感し、子ども達に
伝えて欲しいと述べました。東村高江の住民からヘリパッド工事を強行する現
地の緊迫した状況が報告されました。   
    シンポジウムのテーマは「日米安保体制に抗う沖縄民衆のたたかいに学ぶ」。
古堅元議員から伊江島「島ぐるみ闘争」が、新崎沖縄大学名誉教授から戦後の
基地と安全保障をめぐる沖縄の現代史が話されました。基地を沖縄の子どもた
ちに伝える実践も報告されました。小学六年実践は、身近な生活の税金の使わ
れ方から基地を学び、高校生・大学生への実践は、人を殺すという「軍の本質」
から、米軍が県民の安全を保障しているかを問うものでした。お話しと実践は、
日本の課題「安保」を沖縄の民衆運動と実践から考えさせるものでした。 
(全体会の様子は、琉球新報、沖縄タイムス、琉球朝日放送等で、「歴史教育
者へ基地を問う―稲嶺市長 全国大会で報告」「歴史教育社が沖縄から安保と
民主主義考える」などと報道されました。)
2.沖縄が問うもの
 10テーマの「地域に学ぶ集い」は、唯一の地上戦・沖縄戦と戦後沖縄の苦難
の歴史、基地があるがゆえの過酷な現実、その中で、自らの生活と子どもたち
の未来を守るために、「あきらめない闘い」を続ける人々の姿を伝えました。
沖縄戦の体験者が少なくなる中で、体験を若い世代に語り継ぐ取り組みも報告
されました。分科会は、第一テーマ「歴史と現代」、第二テーマ「地域・子ど
も・授業」の二三分科会と特設分科会として日韓歴史教育交流シンポジウムが
行われた。沖縄の問題、憲法や安全保障の問題と共に、地域の掘りおこしや地
域に根ざした実践が報告され討論されました。「沖縄」が抱えている問題を、
日本の問題としていかに考えていくかを問う大会となりました。
 8日には現地見学Aコース「沖縄から安保を考える」に参加しました。現地
ガイドは元高校の先生。実体験に基づく説明には胸打たれました。「嘉手納基
地の1日の光熱費は1000万円です」「普天間小学校の移転計画があり、経費は
28億円。そのお金はないと言ったが、基地内の米軍の子どもたちの学校は38億
円で建設した」には理不尽さを感じました。5月に起きた殺害事件の犠牲にな
った女性の葬儀については、葬儀の写真を掲載さした新聞を見せながら説明し
ました。遺族の、県民の無念さが伝わりました。
 9日には南風原文化センターを訪れました。学芸員から、文化センターをど
のような思いで建設したのかを聞くことが出来ました。沖縄戦、戦後の苦難の
中でたくましく生きぬいてきた南風原の人々の歴史を、こどもたちに伝えてい
こうとする姿に感銘を受けました。
                                                                                                              (事務局長 桜井)